棚守房顕覚書140 宝蔵のこと・盗賊侵入のこと(1)

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棚守房顕覚書140 宝蔵のこと・盗賊侵入のこと(1)

一、宝蔵の太刀、刀、具足、何なりとも奉納の時は、膝突き銭三貫三百文を、座主・棚守・政所代の三人にて、百疋宛、三百文事は棚守が沙汰人に承けさせ、地下に散仕し遣わすなり。

正月三日の蔵開祝は、棚守の役。七夕の虫払いより外は開かざるなり。鍵は神前に棚守預かるなり。

現代語訳

宝蔵の太刀・刀・具足などの奉納の時は、膝突きという膝をつく時に下に敷く布に「三貫三百文」を一緒に奉納するんですが、このうち三貫(…1貫=百疋)を大聖院座主と棚守と政所代(=財務事務を行う部署のトップ)で分け、残りの三百文を沙汰人(=関係者全員のこと)に渡しました。ちなみに散仕は雑務の仕事のこと。

正月三日に宝蔵を開く役目は棚守の仕事です。七夕の虫払い以外では開けない。鍵は神前で棚守が預かりました。

解説

宝蔵にものを納める時に一緒にお金も献上する。座主・棚守・政所代で一貫づつ貰う。大聖院のトップである座主が実質、厳島神社の管理者として権力を持っているんですね。だからお金をもらうのは当然。それと、政所はお金を管理するところですから政所代がもらうのは当然。そこと棚守が同等なんです。ま、棚守の「棚」は宝蔵のことであり、宝蔵の管理者なんだから、肩を並べてもいいのですが「一貫」もらえるのはそれでも変。「沙汰人(=関係者)」扱いでもおかしくないんですよ。いかに棚守が権力を握っていたかですね。

棚守が鍵を預かっていたのは、「棚守」である以上は当然なんですが、この宝蔵の中に神事の手順や衣装のことについて書いた「目録」が収められていて、その目録がないと細かい儀式が分からない。よって、鍵を管理しているということは、神事そのものを握っていることになります。つまり神社の権力者なんです。
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