棚守房顕覚書99 銘刀荒波のこと(1)

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棚守房顕覚書99 銘刀荒波のこと(1)

ある時のこと。大内殿の重代(=先祖代々の)の千鳥、荒波、乱髪、菊御作、小林の長太刀を思い思いに取り持って、吉田(=毛利)へ進上しました。右馬頭隆元(=毛利隆元)が受け取りまして、「我らのことは大内義隆の扶持(=給与)を持って家を継いだ毛利であるので、その御恩を忘れていない我なので、防長両国(=周防・長門)での(退却の)事も思いよらないことではありますが、敵に進めばと思い、業務を行いました。この大内殿の御重物は、我が家にはどうしようもないです。大明神に預けよう」として、寄進しました。小松殿(=平重盛)の時代を思い出します。

毛利隆元と大内義隆

毛利隆元は毛利家の嫡男。嫡男は長男で後継。毛利元就がまだ安芸国の一国人でしかなかった頃は、大内の家臣の一人でしかありませんでした。なので服従の証として毛利隆元を人質に差し出した。毛利隆元はそんなわけで子供の頃から山口の大内家で人質として暮らしていたのですが、じゃあ、毛利隆元が徳川家康のようにひもじい思いをしたのかというと、全然そんなことはない。それどころか、大内義隆からかなり厚遇されているんですね。

どうしてか?

大内義隆はヘビーなバイセクシャル(ホモセクシャル)で、毛利隆元が「お好みの美少年」だったのですね。それで毛利隆元を厚遇した。ちなみに小早川景隆も同様に大内義隆のお手つきです。おまけに吉川元春はお好みではなかったらしいです。その違いは大内義隆の「隆」の字をもらっているところにも表れている、ような。

毛利隆元の乙女心

大寧寺の変で大内義隆の元愛人である陶隆房が大内義隆を自害に追い込み、厳島合戦では毛利元就がその陶隆房を討ち倒した。陶隆房を殺した勢いで山口へ侵攻し大内の先祖代々の刀を手に入れた。しかし、毛利隆元は複雑な思いを抱えていた。だって、かつて愛し合った大内義隆の血は完全に断絶してしまったのだから。流れで大内の大内のお宝を手に入れたが、なんとも複雑。
それで長太刀を厳島大明神に奉納した。
乙女心というか、なんというか。

で、そんな揺れ動く美少年の面影の毛利隆元が長太刀を奉納する様子を見て、棚守房顕が「まるで平家物語に登場する小松殿(=平重盛)のような…萌えー!!」と感想を漏らした。棚守房顕も大内義隆に負けず劣らずの美少年好きですからね。
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