棚守房顕

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棚守房顕

まとめ
●棚守房顕は厳島神社の舞人・楽人の家で、宝蔵の管理をしていた。
●棚守は厳島神社ではトップではないし、祭祀関係者の中では下っ端のはずの人物。
●それが戦国時代以降、神社内で権力を握ることになる。
●それは大名、大内義隆の援助を引き出したため。
●大内義隆との繋がりは義隆の御師に棚守房顕が付いてから。
●棚守房顕が権力を握ったのは戦国時代にあった、厳島神社の神主の座をめぐる戦乱があった。

棚守房顕とはどんな人物か?

棚守房顕は戦国時代に活躍した厳島神社の関係者。舞人(舞踊する人)・楽人(楽器を演奏する人)という芸能の家で、なおかつ、宝蔵を管理する家。棚守という名前は宝蔵を管理する意味から来ています。棚守房顕で有名なのは、「棚守房顕覚書」です。棚守は1580年に86歳でこの覚書を書き残しています。戦国時代から当時までのことを、かなり細かく描いた本で、覚え違いや誤字脱字はありますが、それでもかなり細かい資料です。棚守房顕は相当に頭が良い人物だ!とよく言われます。神社の状況はよく分からないことが多いのですが、この覚書によって当時の事情が知られています。

棚守とは
棚守は役職でいうと厳島神社では下っ端です。
本来のトップは神官(神主)であり、その神主を関係者がサポートするという形をとるのですが、厳島神社では棚守房顕の登場以降、大聖院大願寺と「棚守房顕」が神社を取り仕切ることになります。大聖院大願寺は当時はすでに神仏習合が儀式がかなり仏教由来のものが多かったので、現在から見ると変ですがさほど不思議ではありません。
●現在では明治維新時の神仏分離で日本中の神社から仏教関係の儀式が追い出されているために奇妙に見える。

なぜ棚守が神社内で強い権力を握るに至ったのか?
それは大内義隆です。

大内義隆と棚守房顕

棚守が大内義隆の御師となったのが契機だと思われます。御師とは宗教指導者のことで、神社の神との取次をする人物です。神様にお願いをするときには御師に願い出るわけです。それが内侍(巫女)から棚守になり、そこから棚守と大内義隆の関係が強まり、大内家による厳島神社への金銭的援助が強まります。

誤解してはいけませんが、大内義隆は厳島神社だけでなく、筥崎神宮・宇佐神宮といった有名寺社に金銭援助を行っていて、金銭援助自体は珍しくありません。問題はやはり「なぜ棚守主導(棚守経由)で援助が行われたか?」です。筋から言えば、神主主導か、神主が主導でなくても、棚守は厳島神社の中では下っぱですから、彼を主導にすることはないんです。御師になったというのはあるでしょうが、大内義隆の御師は棚守以前から付いていたわけで、たまたま棚守の時代に援助をしたのか?というと、ちょっと出来過ぎでしょう。

衆道

棚守房顕と大内義隆は「同性愛関係」にあった?なんてことを言う人もいます。
大内義隆は非常に多くの武将と肉体関係を結んでいました。といっても、当時の同性愛・・・衆道は当時としてはなんら珍しいものではありませんでした。珍しいどころか、衆道は戦国時代においては大事な「技術」でした。家臣にとっては出世する道。大名にとっては信頼できる部下を作る手法。しかし大内義隆は違います。完全にどハマりして、妻と離縁するほどでした(あくまで一説ではありますが)。
●ちなみに大内義隆と同性愛関係にあった人物が、陶隆房・毛利隆元・大内義隆には大内晴持などの養子がいて、その養子は実質、愛人だったと思われます。

ただし、当時の同性愛は「少年愛」であって、年上の棚守と大名で格上の大内では、立場が逆。ちょっとないかな。ま、これは余談でしたね。

神主の無力化

戦国時代に大内義興が足利義稙(=足利義材=足利義尹)を将軍として掲げて、京都に登ります。天下人です。その際に、当時の厳島神社の神主である藤原興親が死亡。その死亡を受けて次の神主の座を友田興藤と小方加賀守が争います。この二人は藤原興親の甥だったとされます。

その後、なんやかんやありまして、友田興藤が神主になり、大内に謀反を起こします。綺麗な言葉で言えば「独立戦争」ですね。友田と大内は一度は和解しますが、その後、また友田興藤は謀反を起こして、最後には桜尾城で自害します。

そんなわけで、厳島神社の神主を巡って、安芸国は大混乱に陥ったのです。まぁ、原因としては山陰の尼子と友田が結んだことがあって、単純に厳島神社の神主の座だけが原因ではないのですが、大内からすれば神主職とは厄介なものだと言う認識になったよう。
そこで、大内は厳島神社の神主は飾りとして、棚守に権力を委ねるという形式をとったようです。棚守は友田に与した人物を罰せず、許していることから、彼の目的は「神社の健全な運営」にあったのではないかと言うのが、大方の見解です。

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