宮島で平清盛が特別視される理由は戦後の流れ

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TOP >> 宮島で平清盛が特別視される理由は戦…宮島 平家納経 厳島神社 誤解・勘違い
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宮島で平清盛が特別視される理由は戦後の流れ

まとめ
●平清盛は実は厳島神社とさほど深い関係じゃない。
●参詣をしているし、それなりに関わりはあるが、突出した関係ではない。
厳島神社を平安末期に修造したのは清盛ではないし、平家納経も清盛が主体となって作ったものではない。奉納したのも清盛かどうかは怪しい。
●ところが、厳島神社と平清盛は深い関係があるとされている。
●これは戦後の吉川英治の「新平家物語」の流行が大きい。
●戦前は朝敵であり悪人として描かれることの多かった清盛が、戦後は逆に偉人として描かれるようになった。これは天皇が中心となった明治から戦前と、天皇が権力者では無くなった戦後の時代の流れがある。
●新平家物語が連載されたのが朝日新聞。朝日新聞はリベラル(反権力)の新聞。
●戦前の反動で反天皇の潮流があり、その中で清盛が注目された。そこに宮島の観光が乗っかったという経緯があるために、清盛が特別視されているが、史実はそうでもない。

厳島神社と清盛はさほど繋がりがない

江戸時代に編纂された芸藩通誌には厳島神社は平清盛が修理した!と書いてあります。つまり江戸時代の一般的な考えとして現在の厳島神社はそれ以前からそこにあった、というのが定説だった訳です。しかし、現代ではなぜか平清盛が現在の場所の厳島神社を作ったような気がしています。どうもそれ以前からあの場所に厳島神社はあったのです。

そして、最近では清盛が厳島神社を現在の形に修理修造したことも、間違っていたことが分かっています。となると、清盛が厳島神社に残したものといえば現在では平家納経くらいのものです。しかし、この平家納経も清盛が奉納したことになっていますが、主となって製作したのは弟の平頼盛であることが分かっています。奉納自体も疑ってもいいでしょう。

なぜ、現在、清盛と厳島神社は深く結びついているか

となると、清盛は厳島神社に何をしたのか?
平安時代に参詣しているし、それなりに奉納もしているんですが、他の人に比べて思い入れがあったとは思えないのです。
しかし、厳島神社の伝承によれば、平清盛は平安時代に修理修造した偉人です。また宮島には清盛ゆかりの伝承が沢山あります。どういうことなんでしょうか。

おそらく平家滅亡後に残された関係者が平清盛という不幸な偉人の霊を慰めるために手柄を清盛に引き渡したことが大きいのだと思います。それはまた別のページに割きましょう。ここでは戦後の清盛の評価についてを書きます。

戦前の清盛の評価

戦前の清盛の評価は一言で言えば朝敵でした。
朝敵ってのは朝廷の敵。
天皇には向かった悪者。
権力を握って調子に乗って不興を買って、ついには同じ武士の源氏に滅ぼされた。
勧善懲悪の悪の部分が平家です。
特に明治維新後に天皇を中心とした明治政府となったのですから、尚更平家の評価は悪いものになりますよね。

戦後の事情

しかし、敗戦後は事情が真反対になります。
天皇は人間となり、象徴となり、権力を失うと、すべての罪を天皇に擦りつけてしまおうという風潮がおきました。まぁ、言い方はアレですが、間違ってはいないでしょう。その中で朝日新聞で連載されたのが吉川英治の新平家物語でした。吉川英治は別にリベラルというわけじゃなくて、大衆に面白く分かりやすく書いただけですが、まぁ、時代もあって、悪人ではない平清盛が大ブームになりました。NHKの大河ドラマにもなりました。小説の連載が1950年から1952年、大河ドラマ化が1972年。現在では考えにくいですが、新聞とNHK大河の影響力は絶大でした。
●新平家物語が連載された朝日新聞はリベラルの代表みたいな新聞ですからね。
●朝日新聞がダメってことでは無くて、思想や風潮・流行によって歴史が客観的に見られていないって意味です。

清盛の評価はそこから異常に高まったのだと思います。
大ブームとなり、かつて天皇を押さえつけて福原に都を移そうとした…そんな清盛を厳島神社を切り離せないほどに結び付け、戦後のリベラルの気運もあって、清盛を主軸にした観光振興を推し進めた。そんな清盛による観光復興という成功体験から現在も抜け出せないのでしょうね。

世界遺産

その流れの中に世界遺産もあります。もしも、厳島神社が誰が作ったのかも分からない建築物だったとしたら、世界遺産になったでしょうか。結構怪しいですよね。絶対ならないよ!とは言いませんけど、微妙な立ち位置だったと思います。地元の運動も盛り上がったか?ってことです。
全てのことが清盛と結び付けられていて、清盛の評価が過大評価されます。清盛はすごい人物なんですが、厳島神社との関わり方が突出しているとは本来は言えないのですね。

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