宮島に行ったカップルは別れるというジンクスの理由・由来

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宮島に行ったカップルは別れるというジンクス

まとめ
●宮島にカップルで行くと別れるというジンクスがある。
●宮島の神様は女神であり、女神だからカップルに嫉妬すると言われる。
●宮島は江戸時代まで有名な歓楽街(風俗街+宝くじ+料亭)だった。
●宮島とは夫婦和合を邪魔する代名詞のようなものだった。カップルが別れるジンクスはそのあたりから来ているのではないか。

宮島にカップルで行くと別れるというジンクス

宮島の女神
宮島にカップルで訪れると別れるというジンクスがあります。このジンクスの根拠となっているのが、「宮島の女神が嫉妬する」ってもの。宮島の女神というと宗像三女神。どうして女神が嫉妬するのでしょうか。
山の神
日本は古代から山の神というと女神です。この山の神ってのが、事実上の山姥(ヤマンバ)で醜く、怪力、俊敏かつ、多産(かつ豊穣)という性質を持っているのですね。山姥は醜いので山に入った「美人」を嫉妬して殺してしまうとされています。だから女性は山に入っちゃいけない…というのがよくある話。宮島のジンクスもこれから来ている…のかなと思ったのですが、そうじゃない。
宗像の女神は「海の神」
宗像の女神は本来は海の神なんですね。
それに「醜い」性質はない。
それに追加すると、宗像の女神は厳島神社に祀られている(とされる)ようになったのは戦国時代で、それ以前は伊都岐島大明神という神様です。もっと言うと厳島神社に祀られている主祭神は現在でも伊都岐島大明神なんです。

伊都岐島大明神

伊都岐島大明神は女神を中心として、その夫と子供の三柱でワンセットの神様。地御前神社では、この伊都岐島大明神の祭りが5月に開かれていて、その内容というのが、女神と男神が「まぐわって」、子供の神が生まれるって儀式。つまり、この伊都岐島大明神はどうやら「穀物神」だったようなんです。海の神とされている現在とは全く違いますよね。そこはおいておいて。
大事なのは伊都岐島大明神は「夫婦と子供」の神で、まぐわうくらいに円満な家庭の女神だってこと。嫉妬する理由がないんですよね。
つまり厳島神社の神さまとカップルが別れるジンクスは関係ないんです。

江戸時代の宮島は風俗島

江戸時代に入ると、広島城のすぐ近くにあった風俗街を移設することになりました。幕府が倹約するように迫っていたこともありますし、そんなもの(=風俗街)を地方自治の中心地である城の近くに置いておくことが「けしからん」となったようです。そこで宮島に風俗街を移設することになります。それが17世紀の初めの1625年。移設先が宮島の新町

宮島という神の島に風俗街を移設するほうがケシカラン!とならないのは現在の感覚からいうと不思議に思うかもしれませんが、戦国時代に毛利が「厳島神社に売春婦が入るのを禁止する!」とオフレを出していることから、宮島にはそもそも売春婦が闊歩していたよう。それに「宮島は神の島」となったのは明治維新での爆発的「神道ブーム」があって、その明治に本家(?)の宗像神社の沖ノ島(=神の島で禁足地)から設定を拝借した結果なんですね。だから江戸時代では神社の周囲は「神聖」だったんですが、新町のあたりまでくると「神社の領域外」となっていたようなんです。

それで新町に移設した。
宮島には男たちが集まることになります。
●元々、宮島は貿易の中継地で、風俗街・売春婦の需要があったよう。

宮島は江戸時代にはなかなかの風俗街として有名となります。芸州厳島図会には売春婦が歩いているイラストがあります。新町の近くには「思案橋」という橋が架かっていて、男たちが「今晩、どうしようか?」と思い悩む場所だったよう。また、新町の近くにある「徳寿寺」は縁切り寺だった。縁切りというのは、「男が遊郭で遊ぶために、女房と縁を切る」ための寺。突っ込みどころ満載ですが、生々しくて面白い。

ちなみに、幸神社より厳島神社側には行けなかったよう。幸神社陰陽石(=男性器の形をした石)が設置してあるのは、何か因縁めいたものを感じますね。

宮島とは夫婦和合を邪魔する代名詞

現在の宮島は神の島、厳島神社は世界遺産…歴史のロマンと神話の島!なんていうイメージは明治以降と戦後に作られたものであり、江戸時代までの宮島はもっと生々しい観光地というか風俗街だったのですね。

明治維新で神道がブームになり、そこに「宮島は神の島」という設定を宮島に付けた結果、宮島に風俗街はふさわしくない!ってことになって、新町の風俗街は追い出されてしまった。ですが、このイメージはその後も残ることになります。
●余談ですが、種田山頭火が幼いときに山頭火の父親は愛人と旅行に行きます。その旅行の間に、山頭火の母親は自殺してしまいます。その旅行先が宮島でした。当時の宮島は風俗街ではありませんが、江戸時代までのイメージがあったと考える方が自然。やはり象徴的な意味合いを持っていたのではないか。

つまり、宮島とは風俗街。
男の遊園地。
また、禁止されていた富くじも、なぜか宮島では行われていました(宮島は伝統的に中立の自治都市という性質があったようです)。
女・ギャンブル・酒と男の楽園たる宮島は夫婦和合の敵。これが「宮島にカップルが行くと別れる」といジンクスの根本だったのではないかと思われます。

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