十一面観音菩薩…元厳島神社の本地仏で現在は大聖院にある

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十一面観音菩薩像

名前十一面観音菩薩(ジュウイチメンカンノンボサツ)
場所現在は大聖院の観音堂。江戸時代までは厳島神社本社本殿の裏にあった本地堂に安置されていた。

観音菩薩は「現世利益」の存在。江戸時代までは厳島神社の神(伊都岐島大明神)の本来の存在とされ、本地堂というお堂に安置してありました。明治維新時の神仏分離で厳島神社から観音菩薩が引き剥がされ、大聖院に移設されて、現在に至る。平安時代の清盛の時代にはすでに厳島神社に祀られていた。
行基の作とされる。

観音菩薩が生まれた経緯

インドで仏教が釈迦によって始まると、仏教が信者を増やして、もともとインドに広がっていたバラモン教が信者を奪われてしまいます。するとバラモン教がインドの民間信仰と習合してヒンズー教が生まれます。

仏教は戒律が厳しいものでしたから、最初は人気だったのですが、徐々にヒンズー教に信者を奪われます。まさに盛者必衰ですよね。

仏教は釈迦の教えを基にしているので「釈迦の一択」だったのですよね。一神教と言ってもいいものです。でも、信者を失って、これじゃやばいってことになって、なんと「仏」を量産し始めます。釈迦は仏なんですが、釈迦はあくまで人間が悟りを開いて「仏」になった訳で、理屈上は悟りさえ開けば仏は何人だって存在してもいいのです。というわけで、バラモン教のように民間信仰の神さまと合体しつつ、新しい「仏」を生み出します。
その仏が「阿弥陀如来」「観音菩薩」「大日如来」などなどなんです。
●仏に対応したお経を作りました。だから仏とお経はセットです。

如来と菩薩
ちなみに如来は輪廻の円環を抜けた「解脱」した存在です。解脱したものを「仏陀」と言います。仏教は輪廻転成(生まれ変わる)をする世界観なのですが、解脱した仏陀は生まれ変わらず、「現世には存在しない」ものです。しかし、菩薩は現世の衆生(普通の人たちのこと)を救うために、悟りを開くくらいに偉いのですが、現世に留まっている存在です。つまり「現世に存在している」ものです。

十一面ある理由

観音菩薩について書いてあるお経は色々とあります。その中で「衆生(=普通の人のこと)を救うときは、相手に応じて姿を変える」とあって、法華経「観世音菩薩普門品第二十五」には33の姿に変えるとあります。また、密教経典(金剛乗経典)の十一面観自在菩薩心密言念誦儀軌経(不空訳)、仏説十一面観世音神咒経、十一面神咒心経(玄奘訳)には11面とあります。

ややこしいことは抜きにすれば、沢山の顔を持って皆んなを救うってことです。
●厳島神社の平家納経は33巻あります。平清盛が後白河上皇にプレゼントしたのが三十三間堂(蓮華王院本堂)。これらの「三十三」は観音菩薩が33の姿に変えることに由来しています。
●阿弥陀如来の脇に観音菩薩が配置されます。阿弥陀如来は来世に救うというものです。しかし、観音菩薩が単体で祀られると「現世利益」が目的になります。
平家納経は来世の解脱を目指したもの。願文や梁塵秘抄の中で「厳島神社の神は後世を救うもの」というニュアンスの記述がある。現世利益を求める十一面観音菩薩の性質と合わない。

歴史

厳島神社に祀られる
平安時代の平清盛の時代には本地堂があったし、平家納経清盛願文の中にも「観音菩薩」の文字があることから、当時はすでに観音菩薩信仰があったよう。
では、何故、観音菩薩が祀られているのか?と言いますと、これは中国の舟山群島のようです。清盛の時代に、日宋貿易をします。日宋貿易の貿易船の中国側の辿り着く場所が「舟山群島」でした。その舟山群島には船を見守るようにドデカい観音菩薩像があったのです。どうも、そこから取り入れた結果じゃないかと思われます。ただし、日本で観音信仰は奈良時代からありましたから、絶対ではありませんが。
●観音菩薩は本来…インドでは男性だったと思われますが、中国→日本に渡来しているうちに「女性」とされるようになります。厳島神社の神は伊都岐島大明神で、伊都岐島大明神は「女神」です。
●十一面観音菩薩は行基の作とされます。行基は空海より前の奈良時代の僧侶。もちろん、実際は行基作ではない。

明治維新の神仏分離
明治維新で天皇中心の親政をすることになったときに、日本中の神社から仏教を引き剥がすことになりました。現在の日本ではピンと来ないですが、寺と神社は神仏習合で「合体」していました。寺と神社は同じ敷地内にあるものでした。厳島神社も裏に本地堂という十一面観音菩薩を祀るお堂(仏教施設)がありましたし、厳島神社内でも仏教儀式を行っていました。
で、神仏分離にすることになり、本地堂は「取り壊し」。本地仏である十一面観音菩薩像は大聖院に移設されることになりました。

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